ノープレ論的コラムvol.10 Final episode

筆者紹介
教育現場で3000名近い子供達と接してきた経験から、幼少期における「ランバイク」を子供達の成長にどのように活かしていくべきか?その1つの形として、不必要なプレッシャーを選手(子供達)に与えない「ノープレッシャー論」を発案。
ストライダーチーム 「TeamS」代表 兼 RCS専門「Team☆NP」なんでも係 日野元春氏
【2019年編 「血まみれのタオル」と「ステージから見えた景色」】
何のためにランバイクをやってもらっていますか?
ランバイクを始めたきっかけは何でしたか?
初めて1人でランバイクに乗れた日のことを覚えていますか??
人は初心を忘れてしまいがちです。
それでも、いろんなきっかけやご縁などにより、ふと「初心」を思い出すことがあり、その度に「はっ」とし、猛省するのです。
「RCSラストレースで表象台」の目標で2019年ソウスケ選手ラストシーズン。
A決勝に必要なことはワタクシも選手本人も理解していましたので、少ない時間の練習も効率的に実施できたと思っています。
激戦世界最高速の7.8歳クラス
A決勝も多く経験できるようになってきました。
全世代対抗のOPENクラスも、現在年間ランク13位と、確実に力をつけてきたシーズンでした。
ラストラン福島ラウンドのちょうど1週間前
練習会にて、ラスト1本と決めて全力でトライしてこい!と送り出した・・・数秒後にワタクシの目に疑いたくなるような光景が飛び込んできました。
クラッシュ現場に駆け寄ると、ヘルメットは飛んでいき、後頭部からは少量の出血と・・・彼の頭蓋骨が一部見えました。
この瞬間、ラストレースどころではない・・・後悔ばかりが頭をよぎります。
周りの方が応急処置をしてくださり、車やサアヤのフォローをしてくださり、本当に皆様に感謝しております。このご恩は一生忘れないです。
救急搬送中の救急車内。
「パパ、福島のレースでれるかな?」
ストレッチャーに固定されたソウスケが、こう聞いてきました。
「今はケガを治すことだけに集中しような!」
と明るく振舞って返すしか、私にはできませんでした。
病院では各種検査、各種診察、各種処置をしていただき、結果としては外傷以外の問題は発生していませんでした。本当によかった・・・!
しかし、病院の先生はレースのことを話すと
「常識的には参戦不可能ですが・・・・」と。
しかし、スポーツドクターの方へ紹介状を書いてくださいました。
「条件が整えば間に合うかもしれません」
その言葉を信じ、搬送先の病院から帰宅しました。
その夜。
血まみれのタオルを手洗いしながら・・・
今までの思い出が頭の中を駆け巡りました。
はじめてランバイクに乗った日のこと
初レースで感動したこと
はじめてレースで悔し泣きしたこと
RCS 初A決勝で涙したこと
ワールドカップ表彰式後に2人で大泣きしたこと
「僕はパパのチームでランバイクがしたい!」って初めて聞いた日のこと
富山で約束したこと
俺は何してんだ。
今日のラスト1本なんで無理して行かせたんだ。
親としてもコーチとしても失格だ。
元気で健康にいられることが一番なのに
変に慣れてしまっている自分が目の前にいて
腹立たしくて悔しくて。
何をランバイクから学んできたのか?
何年やってきたんだ!?
改めて初心を思い返すことができました。
ラスト1週間
彼はリハビリをやりきり、驚異的な回復を見せてくれました。
ドクターからも「ギリギリOK」をいただき、いよいよラストレース当日。
家族4人一緒に元気に会場入りができました!
そして、皆さんのすばらしいサポート、応援と戦略作戦がうまくはまり、過去最高の「5位」入賞でラストレースを無事に終えることができました。
引退式
初めてトラック上から見た景色は・・・
皆さんの「笑顔がたくさん咲いている」、すばらしいものでした。
「あっ、この笑顔が見たくて、選手はみんな頑張っているんだな!」と強く感じました。
~何のためにランバイクをやってもらっていますか? ~
答えは家庭ごとに違うと思います。
しかし、共通するところはあると思います。
「我が子に 幸せになってほしい」
競技を通じて強い心身が身につき、かけがえのない仲間やライバルができて
これからの成長が楽しみでなりませんよね!
将来
彼、彼女達が自立した立派な大人になって
「ランバイクですばらしい経験ができた!」と語ってくれるような
そんな日を夢見て
これからも皆さん、ランバイクライフを大いに楽しんでください。
初心を忘れることなく、日々たくさんのことに感謝して
今、この瞬間を大切にしていってください。
連載お付き合いいただき、ありがとうございました!
ランバイクを全てのスポーツの始まりに。
PHOTO by 秋葉 智之 https://m.facebook.com/Tomozo-Photography-1585081638422437/